○工工四はどのように作られているか。
工工四の仕組みをあらまし理解しておきましょう。
工工四は一ページが7行でできています。一行は右側の声楽譜欄と左側の絃楽譜欄、二つ合わせて一行となっています。
工工四の符号は音符ではありません。左手指で絃を押す圧点(つぼ)を示すに過ぎません。
Δ 絃楽譜欄についての概略説明
絃楽譜は一行が十二段に区切られています。各段は拍子と呼びます。かぎやで風節に凡テ二百二十五拍子とあるのはこの歌の始めから終わりまでの拍子(段)の数を示しています。さらに、格段の中間を拍子(の位置)、段の区切りの線上を五分と呼びます。拍子と五分の中間を二部五厘、五分と次の拍子の中間を七分五厘と呼びます。古典音楽では歌のカナ入れ、節入れの位置は4ヵ所(拍子・二分五厘・五分・七分五厘)あることになります。二分五厘もしくは七分五厘にカナ入れや節入れがある場合には吟位記号(黒点)が絃楽譜欄の中の右よりに打たれている。拍子や五分の位置には吟位記号は打ちません。絃楽譜の乙・老・上・中・尺・上・五・六・七などは左手の指で絃を押す圧点(つぼ)を示すものです。音の高さを示すものではありません。左手が上部位から中部位に移る時には指位記号(絃楽譜左欄外に○で囲んだ一・二・四・)で示してあります。
Δ 声楽譜欄についての概略説明
十二段(拍子)に区切られた絃楽譜の右には一行通して区切りのない欄があります。これが声楽譜欄です。声楽譜は三行に分けて示されます。欄内の右側には音の高さを合・老・四などの符号で示してあります。欄の中央には発声法が示されます。赤や黒の点や線その他の符号で示してあります。赤色は持ち吟(上げ吟)、黒色は居し吟(下げ吟)を示しています。欄の左側には歌カナが示してあります。以上三行、右に音高、中央に発声符号、左に歌仮名が記されています。工工四の目次の前のページにある◎聲楽之部の符号は発声法を示し、これの技法を習得することが琉球古典音楽の歌唱の学習です。
図は上巻から瓦屋節の初めの二行を示します。絃楽譜が一行十二段に区分されています。声楽譜が三行に分けて示されています。絃楽譜欄中の右よりか左よりに・があるところは二分五厘か七分五厘の位置であることを確認してください、右よりのは吟位記号で、左よりのは絃位記号です。絃楽譜左欄外に指位記号が出ています。
Δ 歌のテンポはどのように示されているか、
かぎやで風節の節名の下に、凡て二百二十五拍子 一拍子八分一厘脉と示してあります。一拍子八部一厘脉とあるのは、欽定工工四編纂のとき、かぎやで風節の演奏時間を脈拍で計ったら、一八三脈拍でした。この一八三脈拍をかぎやで風節の拍子数二百二十五拍子で割ったら、〇、八一三の答えを得た。これが八部一厘と示されているのです。かぎやで風節の速度です。
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